
ベランダで実を付けるイチゴの水耕家庭菜園
シュートケーキや各種のスイーツでひっぱりだこのイチゴ♪
ベランダで膨らんでいくイチゴの苗の果実を想像しながら、
期待に胸を膨らませてチャレンジするイチゴの水耕栽培。
…と、楽しいテンションで始まりそうなのですが、
イチゴの栽培はとても難しいのです。
その理由を水耕栽培例を見ながら勉強していきましょう。
バラ科のイチゴ・いちご・苺の特徴・予備知識

最初にイチゴの予備知識。
イチゴは通常、タネから発芽させるのではなく、
苗を購入して育てていきます。
タネを発芽させても美味しいイチゴにならないのでイチゴの苗を入手します。
イチゴにはどのような種類があるのでしょうか?
ワイルドストロベリー
栽培&発売されている一般的なイチゴは「オランダイチゴ属」で、
その原種(野生種)寄りのイチゴがワイルドストロベリーと総称されて販売されています。
野生種寄りのイチゴのためワイルドストロベリーの実は小粒で、
年中花を咲かせて果実を実らせます。
ラズベリーやブラックベリーなど、
キイチゴ(木苺)と呼ばれるイチゴがありますが、
そちらは「木」になる果実のキイチゴ属ですのでイチゴとは別。
また、「ヘビイチゴ属」という実を持つ野草もあり、
ヘビイチゴと呼ばれています。
ワイルドストロベリーはオランダイチゴの先祖(=美味しくはない)のようなイチゴで、
ヘビイチゴではありません。
一季成りイチゴ
実の粒が甘くて大きく育つイチゴの品種のほとんどが、
冬から春にかけて実をつける「一季なり(一季成り)」のイチゴ。
プロの農家が一年をかけて商品用に作るのが八百屋さんで並ぶ「一季成り」品種のイチゴです。
「とよのか」や「とちおとめ」など、
ブランド化されるほどのイチゴはそのほとんどが一季成りのイチゴで、
一年に一度5月~6月頃しか収穫が見込めません。
四季成りイチゴ
四季なり(四季成り)イチゴは、
季節を問わずに小さな実を付けるワイルドストロベリーと、
一季成りの大きく甘くなるイチゴを掛け合わせたイチゴの改良品種。
株が元気なら年に2~3回くらいの結実するので、
栽培するなら四季成りイチゴがおすすめ。
甘さや大きさなどは一季なりのイチゴにはかないませんが、
自宅栽培で春や夏、秋までも結実し、
おいしく食べられる四季なりイチゴは家庭菜園向けのイチゴの品種として人気があります。
イチゴのベランダ水耕栽培・育て方【植え替え】
【手順 1-1】ポットから苗を抜く

露地栽培(畑やプランター)では、
育苗ポットから抜き出した土の付いた状態のまま畑に植えて定植させますが、
水耕栽培では根に付いた土を全て洗い流します。

イチゴの根はとてもがっしりしています。
育苗ポットの中の根は根でびっしりしていて、
イチゴの根は行き場を失い上まで逆巻いて伸びているかもしれません。
根を傷付けない様に土を全て洗い流しましょう。
【手順 1-2】スポンジで苗を挟み、苗床土台へ

根を露出させたイチゴを苗を宙に浮かせるための野菜土台に据え付けます。
(解説:水耕栽培の苗床土台の自作・作り方【自作編】)
発泡スチロールの箱のふたに穴を開けてスポンジで固定する人もいらっしゃるようです。

苗を宙に浮かせて固定することができれば水耕栽培は簡単にできますので、
自作にトライする人は挑戦してみてください。
スポンジ(解説:水耕栽培でのスポンジの使い方&加工のポイント【自作編】)をイチゴの苗の根の頭部分に巻き付け、
苗床土台に固定してあげましょう。
【手順 1-3】イチゴを水耕栽培プランターへ定植

苗土台に設置したら液体肥料を満たした水耕栽培プランターにイチゴを定植します。
あとはイチゴの花が咲くまで待つのみです。
イチゴの根腐れと液体肥料について

苗床の固定技術を確立すればイチゴの水耕栽培が始められます。
苗の固定台をハイポニカなどの液肥を満たした水耕栽培プランターに沈めましょう。
さて、液体肥料について、ここでひとつ重要な注意点。

他の野菜の水耕栽培でのハイポニカ液体肥料の希釈濃度は500倍くらいで行えたのですが、
イチゴの苗だけは500倍では濃すぎて十中八九、根が根腐れをおこして枯れてしまいます。
イチゴだけは液肥(窒素成分)が濃すぎるのです。
上の2つの写真のイチゴの根の色が、
購入時にポットから抜いた時と全く違っています。
根が弱いのがイチゴ菜園の難しさ

強力なエアポンプで空気を送って育てていたイチゴの水耕栽培プランターでしたが、
多くのイチゴが根が変色し、ちぎれて枯れていきます。
これは酸欠による根腐れではなく、
液肥の成分…窒素が多すぎるとこのようになるそうです。
ハイポニカ液体肥料でいろいろな野菜を育ててみたのですが、
イチゴだけはあまり寿命を全うしてくれませんでした。

もし、これからイチゴ栽培を始めるなら、
希釈を倍にして研究するつもりで趣味的に栽培してみてください。
根が腐りやすく、原因は肥料の濃度だよー…という事まで情報としてアドバイス。
液体肥料ハイポニカ
開花・受粉・結実時のイチゴのお世話

イチゴの花は咲く時には花の芽が一斉に芽吹いてきます。
イチゴの人工授粉

街(ベランダ)での水耕栽培の場合、
花粉を受粉させるハチや蝶がいない環境です。
耳掻きのふわふわした部分や筆などでイチゴの雄しべの花粉を、
雌しべに触れさせてあげて人工授粉をしてあげましょう。
受粉していれば、花びらが落ちた後に黄緑色のイチゴの果実が膨らみ始めます。
イチゴの病気

こちらのイチゴさん、
カビに冒されてお亡くなり。(ノД`)
イチゴ灰色かび病と呼ばれる症状で、
人間で言えば水虫。
イチゴのベッド

根腐れや開花、受粉やカビ病の難関をくぐり抜けた奇跡のイチゴが膨らんできたら、
実の下にスポンジを敷いて傷付かないようにしてあげましょう。
イチゴの水耕栽培・ベランダ家庭菜園のあれこれでした。
食べるのが惜しいくらいイチゴは大変
家庭菜園×水耕栽培 Key Points
- 根が腐りやすいイチゴの苗
- 結実しても油断大敵
- 収穫量は1度に2~3個
家庭菜園レベルでイチゴの解説をすると、手間の割に赤くなるまで育てるのが奇跡的であることがお分かりいただけたかもしれません。四季成りイチゴの花が咲くのが気まぐれなので、「気が付いたら実っていた」ことも。家庭菜園の野菜(?)の中でもイチゴは上級者向けと言えます。