
野菜の素は肥料内の栄養素
農家の方は果物の味や甘さを良くするための研究や工夫をしたり、長年の経験やノウハウでずっと先へ進んでいるのですが、家庭菜園初心者の私たちは、基礎知識さえありません。
野菜の成長に必要な栄養分(=肥料)の知識を少しだけ整理してみました。
植物が必要とする必須栄養素

植物が生長するために必要な元素は下記のとおりです。
植物の必須栄養素
窒素 (N)、リン (P)、カリウム (K)、炭素 (C)、酸素 (O)、水素 (H)、マグネシウム (Mg)、カルシウム (Ca)、硫黄 (S)、鉄 (Fe)、マンガン (Mn)、ホウ素 (B)、亜鉛 (Zn)、銅 (Cu)、塩素 (Cl)、モリブデン (Mo)、ニッケル(Ni)。
これら16の元素はそのうち一つでも欠けると植物体の生長が完結しないとのことで「必須栄養素」とされています。水耕栽培の専用の液体肥料では、植物の成長に必要な成分が含まれています。
これらの必須栄養素の中でも特に植物が多量に必要な養分が次の元素。
肥料の三要素
【窒素】
窒素は主に葉を成長させる重要な養分。葉物野菜はもちろん、他の果実野菜(果菜)も植物全体のエネルギーを生産する葉の力を欲しますので、全ての野菜のエネルギー要素です。
水耕栽培の時は野菜の種類によって、窒素濃度が多い(窒素過多)植物は根が茶色く変色し、根腐れを起こしてしまうので、濃度を濃くしないように注意してください。
【リン (リン酸・燐酸)】
リン酸は花や実の成長に必要な栄養素。水耕栽培初心者におすすめのハイポニカ液体肥料はA液(透明液)とB液(オレンジ色)を水道水に投下して使いますが、その内リン酸はA液(透明液)に含まれています。
【カリウム】
カリウムは根の成長と細胞内の浸透圧の調整に寄与する栄養素。浸透圧のバランスが崩れると、動力ポンプのない植物は植物の全身に栄養を送り込むことができなくなります。
植物の部位の役割

見たままのお話になるのですが、植物の部位の役割を解説します。
育てたい野菜を考えながら目を通してみてください。
野菜の「根」の役割

「植物の根」は実は葉や茎より重要な器官。「根」は植物を支える土台となる他、植物全体へ水分や養分を吸収し、呼吸をしています。
植物は「動的」なエネルギー機関を持たずに、植物内の養分濃度の相違による「浸透圧」や、「毛細管現象」などで葉から発散された水分を根で自然に吸い上げるようなメカニズムで揚水しています。
肥料の窒素濃度が濃い時や、空気に触れる事の無い環境にさらされた根は「根腐れ」するので、水耕栽培では液体肥料の濃度に注意しましょう。
野菜の「茎」の役割

「植物の茎」は植物の支柱となると同時に、植物内の活動のエネルギーを輸送するパイプラインの役目を持っています。

茎は枝別れし、その根元からまた新しい枝が芽吹いてきます。果実系など、野菜の種類によっては、植物のエネルギーを分散させないようにその新芽を摘む必要のある野菜もあります。
また、新芽から成長した枝の切り口を鋭利にし、水中に浸しておくと根が発生して(挿し木という増殖方法です)2株目になる植物もあります。
野菜の「葉」の役割

「植物の葉」はエネルギー生産の光合成の場。植物の健康状態は「葉」に出やすいので、植物の調子を見る指標にもなります。
水耕栽培では、葉が内側にしんなりと丸まっているような状態であれば、液体肥料の濃度が濃すぎのサイン。逆に濃度が薄くて栄養の低い液体肥料を吸っていると、葉が反り返っているような状況が見受けられるので、葉の状態で液肥や水分調整をしてあげることができます。
野菜の「花」の役割

多くの野菜で花は咲きます。レタスや大根も収穫せずにいればいずれ花が咲いて種ができます。
実を収穫する野菜の場合、花粉が雌しべに付き、受粉することで結実します。
自然界ではそよ風や蜂や蝶などの昆虫によって受粉しますが、部屋栽培であれば確実な収穫のために人工受粉をさせてあげた方がいいかもしれません。
化粧用の筆や耳掻きのフワフワ部分で花の中心をコチョコチョと触れてあげるといいでしょう。
液体肥料が栄養の全て

ペットでもお子さんやご自身の食事でも、身体を構成する原料は食事が全て。植物の場合は与えた肥料が全てです。
養分吸収効率に優れた水耕栽培とはいえ、液体肥料の栄養分の比率や濃度は販売会社によって違うので、例えば球根栽培シクラメンの活力剤を液体肥料として栽培をしても、花を咲かせる養分だけに特化しているので野菜栽培には向いていません。
また、液体肥料であっても薄めてジョウロで地面に撒く露地栽培用途のものが多いので、水溶液の全てが土壌・養分となる水耕栽培では利用濃度が違うので流用・転用はご注意を。
液体肥料ハイポニカ
子供の頃学校で習った「窒素・リン・カリウム」のお話。ただの暗記、ただの知識だったそれを大人になって初めて実感&意識するのが水耕栽培です。